あんな思いはもういやだ

自分一人なら歌おうが踊ろうが、まったく問題なく楽しくさえあると言うのに、人前で歌えとか話せとか言われると、とたんにドキドキしてしまう。何とか自分を落ち着かせようと深呼吸などして見るが、一向に治まらない。それどころか順番でも回ってこようものなら、胸の鼓動はのど元まで達している。
あがり症で、どうにもならずに拷問を受けているような、逃げ出したいような経験を持った方はいるはずです。このように胸がドキドキ高鳴ったり、急にトイレに行きたくなったりするのは、全て自分の意思と関係なく自律神経の働きでおきています。なぜこのようなことになってしまうのでしょう?。せめて原因が分れば納得できるだけでも少しは気が休まろうと言うものです。
手元にある「阿部聡著 人間の体99の謎」を参考にさせて頂きますが、「あがる」という現象の理由は大昔の人間が狩猟生活を送っていたことの名残だと読み取れます。現在と違って大昔の人間は生きるための食料として、例えばイノシシや熊などと石斧などの武器で戦っていたのです。

自律神経も時と場合を考えてくれよ

狩猟で獲物を探していると目の前に熊が現れたとします。これを見た大昔の狩人の体には、自動的に熊に対する防御反応がおきます。戦うために心拍数は早くなり血圧は急上昇、血液中のブドウ糖は急増し、消化器官など対戦に不必要なパーツには血液を最小限にし、手足などの筋肉には大量の血液が流れ、そのために手のひらなどが汗ばんできます。・・・と、このような内容の記事を読むうちに、あがり症の自分が、スピーチなどを人前でしなければならない時間が刻一刻と近づいている状況と良く似ているな、と思うのは私だけでなく、あがり症の方なら皆同じではないでしょうか。
手足が汗ばむように変化させるのは石斧などを持つ手や足がすべりにくくするためなのだそうです。そして、これらの熊に対する防御及び対戦モードを作り出しているのが、自分の意思ではどうにもコントロールすることのできない自律神経の働きで起きているというのです。自律神経には交感神経と副交感神経の二つがあります。

過剰防衛から開放されたい

交感神経は緊張するように働き、副交感神経はリラックスするように働きます。あがり症の人はこの交感神経の働きにより緊張した状態にあると言えます。
あがり症の人にしてみれば、人前でのスピーチや自己紹介や色々な発言は、熊などの野獣と同じ敵に相当するというのです。現在でも北国の地区では、きのこを取りに行った人が自宅近くで熊に襲われるニュースも聞きますが、概ね昔の人間とは違って現代人は、野獣と戦う必要の無い生活になっています。それよりも、交通事故で危険な目に遭わせたり、遭ったりというケースのほうが余程ヒヤッとして、ドキドキものです。しかしながら、この交通事故は一瞬のできごとなので交感神経の働きも間に合わなくなって、事が起きた後にドキドキしています。
あがる人、あがり症の人は過剰防衛だとも言われます。必要以上に野獣の如き敵に対して防御や対戦の体制をとろうとするのです。人前でと言ってもその人をジャガイモ程度に考えようというあがり症防止法があります。敵は恐れるに足りない弱いものと考えるわけです。長年あかり症を経験してきた人間にとって、簡単には治せませんが、もうそろそろ、太古の狩猟生活からは開放されたいものです。

Copyright © 2008 あがり症・原因が克服のヒント